地方議会の政務調査費について

地方議会の政務調査費について

土日夜間議会改革サロン事務局 青山真二氏/㈱政策工房 代表 原英史氏

青山 

 最近では大分県の県議が地球一周半分(6万6千キロ)のガソリン代の経費を政務活動費内調査旅費として取得していることが分かったわけですがこれはもうどう見ても通用しないですよね。

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/oita/article/230545

原 

 この話は兵庫県の号泣県議がさんざん問題にしたにもかかわらずまだまだ同じような問題がそこらじゅうで起きているということです。

青山 

この件からもまだまだ潜在的にはこの手の問題がおこっているとおもってまちがいないですね。私の住んでいる市川市でも百条委員会が解決しておらず、切手を政務活動費で買いすぎた十数人の議員がいてこれは地元の人間としてもうどうにかしなければならないと思っています。http://www.sankei.com/region/news/150618/rgn1506180054-n1.html

原 

 最も問題なのは千代田区では政務活動費の問題が出てきていますがこれは、領収書などが公開されていて問題になっているからよくて、国会議員や大きな政治団体の領収書ならみなさんチェックするのですが、地方議会まではなかなかできてなくてやってみたらとんでもないことになっていました。千代田区で問題になっていたのは政務活動費から給与に付け替えてしまうということでした。給与となると領収書をつけなくて良いという話がうごいていましてびっくりしました。

http://mainichi.jp/articles/20151225/k00/00m/010/102000c

青山

先日、千代田区の特別職報酬等審議会におじゃましてきましたが、

https://www.city.chiyoda.lg.jp/koho/kuse/jinji/tokubetsushoku/h25.html

元議員をやっていた方が発言を忘れているなど話が前後しまくって座長はお困りになっていました。そもそもああいった方たちを招集して審議会を行う、わからないまま議事録無視でシャンシャンで終わらせてしまう、あまりに慣れ合いです。

日本独特のお役所にお任せする、といったこともそろそろ変わる時が着ていると思います。

愛知県で「政活費返還」判決 全国への影響は?(地方議会ニュース解説委員 山本洋一)

 

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■ 名古屋高裁が愛知県議会の2009年分の政務調査費の一部返還を命ずる

愛知県議会の政務調査費(現政務活動費)の一部の使途が違法だとして、住民が2009年度分の返還を求めていた訴訟の控訴審で、名古屋高裁は24日、全額を返還するよう命じた。全面敗訴の県議会側は「とんでもない判決」と反発する一方、「他の自治体に影響する可能性がある」との声も出ている。今回の判決の意味するものとは。

 

 

訴えていたのは名古屋市民オンブズマン。2009年度に県議が支出した「事務所家賃」と「自動車リース料」は条例違反だとして、領収書が公開されていた3万円以上の支出すべての返還を求めていた。すでに返還された140万円を除くと対象額は8116万6125円。

 

報道によると、裁判長は「当時の地方自治法では、政調費を充てられる対象は『調査研究に必要な経費』に限定されている」と指摘。「調査活動に事務所、車が不可欠だと主張・立証しない限り、賃借料などに充てられないと推認される」と判断したという。

 

■「事務所家賃」、「自動車リース料」は政務調査費に当たらないと判断

 

ここで「当時の」と出てくるのは、2012年に地方自治法が、翌2013年に県の条例が改正されたからだ。改正前の名称は「政務調査費」で、交付目的は「議員の調査研究に資するため」だったが、名称を「政務活動費」に修正。交付目的も「議員の調査研究その他の活動に資するため」と拡大し、具体的な支出対象は各自治体の条例で定めることとした。

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劇場型市長の時代は終わったか?!(地方議会ニュース解説委員 山本洋一)

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■ また一人劇場型市長が政界を去る~山中光茂(三重県松坂市長)の辞職

三重県松阪市の山中光茂市長が13日、市議会議長に辞職願を提出した。市立図書館の改修を巡り、議会と激しく対立。事態の打開に向け市長の支持グループが議会の解散請求(リコ-ル)運動に打って出たが、この日、リコールの不成立が判明し、辞職を決断した。大阪市の橋下徹市長に続き、また一人、劇場型市長が政界を去る。

 

「今の議会の体制が変わらなければ行政執行はできない」。山中市長は辞職願の提出後、記者会見でこう述べた。このまま市長とオール野党状態である議会との対立が続けば行政の停滞が避けられない、というわけだ。

 

就任時から対立の芽はあった。山中氏は民主党県議だった2009年、党の説得を振り払って市長選に出馬。勢力を伸ばしつつあったみんなの党の渡辺喜美代表(当時)の支援を受け、自民、民主相乗りの現職を破って初当選を果たした。

 

当選時は33歳で、市長としては全国最年少。就任後は市役所に「借金時計」を設置するなど常識にとらわれない発想で改革案を続々と実行し、キャバクラの凄腕スカウトマンだったその経歴や「ヒゲ面」と合わせて全国的に注目を集めるようになった。

 

ただ、「ブランド牛」で全国的に名が知られているとはいえ、三重県中部に位置する人口16万人あまりの小さな市。市長が注目を集めれば集めるほど、保守系議員の反発を買ったのは想像に難くない。

極めつけは市立図書館の改修計画だった。山中氏は当時、全国的にも話題となった佐賀県武雄市の「TSUTAYA方式」に着目。武雄市の樋渡啓祐市長(当時)に接近し、図書館の運営を民間に丸ごと委託する改革案を構想した。

 

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安保審議、地方議会のすべきこと(地方議会ニュース解説委員 山本洋一)

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集団的自衛権の行使を認める安全保障関連法案が16日、衆院本会議で与党の賛成多数により可決された。参院での審議を経て今国会で成立する見通し。全国で300超の地方議会が「反対」や「慎重」の意見書を出したが、国会の審議に影響を与えられていないのが現実だ。

朝日新聞の9日付記事によると、全国の都道府県議会や市町村議会のうち144議会が安保法案の廃案や撤回などを訴える「反対」の意見書を可決。181議会が慎重審議や十分な説明を求める「慎重」の意見書を可決、国会や首相官邸などに提出した。

逆に法案の成立を求める「賛成」の意見書は6議会。このほか安倍晋三首相の地元である山口県議会や長崎県議会、秋田県議会などが与党会派の主導で賛成の意見書を可決する見通しだという。反対や慎重の意見書もこれからさらに増えるだろう。

 

■ マスコミは意見書を利用している?

地方議会は地方自治法99条の規定で「地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を国会又は関係行政庁に提出することができる」。今回、各議会は「法案が成立すれば自分たちの地域や住民にも影響がある」として、安保法案に関する意見書を可決、提出したというわけだ。

だが、実際に提出された意見書がどう扱われているかというのは当サイトで紹介している通り。意見書に法的な拘束力はなく、誰にどうやって読まれているのかも不透明なのが実態だ。実際に与党は地方議会の意見書などまるでなかったかのように、当初のカレンダー通りに「衆院再可決」を使えるこのタイミングで衆院を通過させた。

★参考★

【衝撃】誰も読んでない?沖縄大宜味村議会が外務省に送ったはずの憲法9条遵守の意見書「みつからない」との回答(http://gikainews.jp/125

 

あえて言えばマスコミが自分たちの主張の裏付けとして、地方議会の意見書を利用しているくらい。例えば冒頭で紹介した朝日新聞の記事の見出しは「安保法制、144議会『反対』 181議会『慎重』」。安保法制に反対の立場である朝日新聞らしい記事だが、仮に多くの議会が賛成の意見書を出していたら、そのことに触れることはなかっただろう。

現状、地方議会の意見書では国会の審議の行方を左右させることはできない。それでは地方議会、地方議員はこの場面で何をすべきなのだろうか。

 

■ 地方議会のすべきこと?

今回、反対や慎重の意見書を可決した議会の多くは自民党や公明党などの与党会派が多数を占める。もちろん中身を見るとただ単に反対や慎重というだけでなく、法案整備には理解を示しつつ、慎重な審議を求めるものなど千差万別だが、多くの自公議員は所属政党が安保法制の整備を積極的に進めるにもかかわらず、反対や慎重の意見書に賛成した。

有権者とじかに触れ合う機会の多い地方議員だけに、法案に反対する地元の有権者から突き動かされたのだと推測するが、本来であればその反対意見は自分たちの政党に届けるのが筋である。

本当に法案の成立に反対だと思うならば地元選出の国会議員や地方組織の幹部と徹底的に議論し、法案に反対するよう働きかけるべきだ。逆に法案の成立に賛成ならば、反対する有権者に法案の意義を訴え、自分たちの主張に理解を示すよう説得すべきである。議会を通じて意見書を可決し、国会に提出するというのは地方議員の本質的な仕事ではない。

国会議員もしかりである。街で与党議員が法案賛成を呼びかける演説会を開いているのは見たことがないし、党の自粛要請を受けて与党議員はテレビにも出ない。新聞のアンケートも断っているため、各議員の意見を知ることすらできない。

野党も「強行採決を許さない」などとしたプラカードを作る暇があるならば、もっと有権者が納得するような議論を国会審議で展開すべきではないだろうか。テレビで、新聞で、雑誌で、もっと具体的でわかりやすい議論を積極的に発信すべきではないだろうか。

 

■ 野党支持が伸びないのは”野党の本気”が見えないから

世論調査で法案への反対が多いにもかかわらず、野党への支持が伸びないのは野党の本気が見えないからだ。多くの国民は民主党が自分たちの票を伸ばすためだけに、パフォーマンスとして法案の成立反対を訴えていることを見透かしている。

ある野党議員は「うちの党にとっては早く強行採決してくれた方がありがたい」と話していたが、そうした“本音”は顔や言動に必ず現れる。そんな表面的なウソに騙されるほど有権者はバカじゃない。

 

安保法制の審議を巡っては、政府が一方的に推進するだけで、与党議員も野党議員も積極的な役割を果たせていない。地方議員も本気で安保法案に賛成、反対するのであれば、意見書の可決以外にやるべきことがある。

(地方議会ニュース解説委員 山本洋一)

――地方議会のニュースをわかりやすく『地方議会ニュース』

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議員バッチと政治文化(中央大学教授 佐々木信夫)

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■ もともと議員バッジは「通行証」

日本には、717名の国会議員と約3万3千名の地方議員がいる。都道府県、市区町村の議員を合わせての話だが、この人たちをみると、誰でもわかる共通の点がある。

よく、街の中や電車で胸に「議員バッチ」をつけている人を見かける。赤紫、紫紺など丸いバッチだ。国会議員も地方議員もみなこれをつけている。最近こそ減ったが、結婚式でも葬式でも「議員バッチ」をつけている人も少なくない。ひと目でこの人は議員だとわかる工夫だと言われればそうかも知れない。しかし、欧米などをみると、こうした議員バッチなどつけている人はいない。そうした制度もない。バッチは韓国、日本など少数派だ。

もともと議員バッチは、議場への「通行証」としてつくられたものとされる。だが、いつの間にか、一般人と区別する特権的な身分のあかし、「身分証」のように変わってしまっている。日本の議員バッチには特別な効用があるように見える。

胸元のバッチが”権威“の象徴にみえるのだ。よく不祥事を理由に“責任をとって議員を辞職する”と会見などで述べる際、「議員バッチを外す」という表現を使う議員がいる。自身にとって、議員バッチは命の次に大事なものだろうか。ともかく、日常生活から冠婚葬祭まで肌身離さず議員バッチを着け歩く姿を見ると、このバッチの存在が“議員とは何か”を考える際の重要なヒント、日本の政治文化をみる場合のポイントといえそうだ。

 

■ 議員族にとって大切らしい”議員バッチ”

地方の話ではないが、東京の永田町周辺にいくと、ある種、議員バッチの集団であふれている。717名も国会議員がいるから、その議員会館周辺はバッチ族が多いのは当然だが、それを上回る数の地方議員が陳情請願ほか面談のために訪れる。彼らは省庁回りの後か先に必ず「オラが先生!」を訪ね、意見交換も含めいろいろお願いする。行政とは別な意味で、政治の世界の中央集権の構造を垣間見る思いがする。

それはともかく、国会議員のバッチはあたかも権威の象徴のように、ひときわ目立つ。

【図―】 参議院議員バッチ

参議院バッジ

 

衆議院は赤紫、参議院(写真)は濃紺のバッチと色の違いはあるが、これをつけている人といない人では、警備員らの扱いが全く違う。私たち一般人は、ボディチエックを受け議員とのアポイントがなければ、議員会館にすら入れない。因みに、国会に出入りする国会議員のほか、議員秘書にも専用のバッチが支給されているが、議員以外はバッチの着用のほか専用の身分証明書をセットで保持していないと国会に入ることはできないそうだ。もちろん、議員といえども、バッチがなければ中に入れない。過去に議員バッチを忘れてしまい、中に入れないので、後ろからきた議員からバッチを借りて入場したという間抜けな話まであるくらいだ。

ともかく、議員族にとってバッチは大切なもののようだ。国会に限らず、このバッチをつけている人たち(議員)は、都道府県で2613名、市区で19576名、町村で11249名いる(2015年)。平成大合併の始まる平成12年以前は64712名の地方議員がいた(平成10年)。それが現在、33438とこの15年間で半減している。原因は約4万に及んだ町村議員が約1万に減った点にあるが、ともかく約33500名の地方議員が、日本の公共分野の3分の2を占める自治体行政の決定者であることは間違いない。

どこまで本人に自覚があるかわからないが、議会制民主主義は議員に決定者の役割を委ねている。国会も含めこれに要する経費は、事務局経費など間接経費を除く歳費、報酬費など直接経費だけでも、ざっと5000億円。うち約4000億円近くが地方議員の経費とされる。

■ 地方議員のバッチも様々

議員バッチは赤紫、紫紺と色も違うし大きさもいろいろだが、共通しているのは、真ん中に小さく金色の菊花模様が見える点だ。大きさは様々でどれが国会議員、どれが県議会議員、どれが市区議会議員、町村議会議員のバッチかなど区別はできないが、ともかく議員バッチをつけている人が「議員」だという点ははっきりわかる。

聞くところでは、地方議員のバッチには様々な種類があるという。よく議員大会や議員セミナーでその集団にあうが、区別はよくわからない。都道府県の議員バッチは同じだが、同じ市議でも一般市議のバッチより政令市の市議は一回りバッチが大きい。町村議員の場合、一般議員のバッチは同じだが、議長バッチとか、郡の会長バッチまである。さらに国会議員同様、地方議員にも退職議員バッチがあり、議会によっては色の違う長期在職者バッチまであるようだ。10年、15年表彰の際、公布されるという。モールの巻かれていない略章(徽章)まである。ともかく、図は一例だが、こんなに地方議員がつけているバッチの種類はある。ほとんどの人はどれがどうだか知るすべもないが、彼(彼女)らの世界では絶対的な意味を持つようだ。これだけこだわるようだと、もしかして、落選中の元議員バッチまであるのかもしれない。

【図二】 地方議員のバッチの種類

地方議員バッジ

 

■ ある市の条例によれば、議員バッチは身分証らしい

地方議員の場合、国会と同様、議場に入る場合、バッチがなければ入れないのか。退職者バッチや長期在職者バッチはどのような時、使われるのか。いろいろ疑問はあるが、ある市の条例をみると、議員バッチについてこう規定している。

  • 議員は、その身分を明らかにするため、議員き章(以下「き章」という。)をはい用するものとする。
  • き章は、議員の当選が決定したとき直ちに交付する。
  • 議員が亡失その他の事由により、き章の再交付を受けるときは、実費を納入しなければならない。

 

どうやら、この規定からすると、議員バッチは身分証のようだ。議員活動をする際は、身分をそのバッチで明らかにせよと書いてあるものと理解される。なぜ、こうまで日本の議員はバッチにこだわるのだろうか。日本独特の政治風土のせいなのか。確かにバッチをつけていると、目立つという点で不祥事などの防止につながるかもしれない。しかし、一般市民を代表していると意識より、一段高い身分にいるという「身分の証」といった錯覚につながることはないだろうか。最近の、威嚇したり、威張ったり、暴力沙汰を起こす地方議員の事件を見聞きすると、特権意識があるようにみえてならない。

むしろ、まちづくりの代表、市民生活者の代表という感覚を植え付けるには、欧米のように議員バッチなどなくしたらどうか。意外にそうした「心の垣根」を外すところから、地方議員の改革が進むように思うがどうか。夕方あつまっての“5時から議会”、そうした土日夜間議会が広まっていく、サラリーマン議員が普通に議員活動のできる社会はできないだろうか。彼(彼女)らは、自分の所属する会社の社員証をつけたまま、議場で議論する。それは普通の会議の姿と変わりない。普段着の議会、それでもよいのではないか。

有権者枠を18歳まで広げ、ようやく世界標準に達したと胸を張る人がいるが、地方議会は兼職が普通、土日夜間が普通、実費程度の議員手当てが普通、この標準にいつになったら近づけるのか。日本の政治風土と市民の政治意識が変わることが求められている。

 

(中央大学教授 佐々木信夫)

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「辞職勧告決議」を受けた議長が居座るのはなぜ?(地方議会ニュース解説)

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<地方議会のニュースを斬る>
「辞職勧告決議」を受けた議長が居座るのはなぜ?
地方議会ニュース解説委員 原 英史(株式会社政策工房代表取締役)

塩釜市議会で6月12日、佐藤英治議長に対する「辞職勧告決議案」を全会一致で可決した、とのニュースがありました(6月13日河北新報)。

理由は、「議会運営をスムーズに進めず、不信感を抱いている。これまで4度可決されたのに、発言に反省の色がない」(同議会議員)ということだそうです。
何といっても、議長を除く全員が一致して可決、しかも、これで5回目というのですから、議長としての信頼がよほど無いのでしょう。

ところが、こうした決議には法的拘束力がないため、これまで4回の決議を受けても議長は辞職しておらず、今回も「議長の重責を担っていきたい」と任期を全うする意向、と報じられています(同)。

これは、なんだか不思議に思われます。
というのは、議長は、市議会議員の議決によって選ばれます(地方自治法103条1項)。
もともと、自分たちで選んだ議員なのですから、あとから「やはり不適任」と思われるなら、解任して、別の議長を選び直せばよいのではないでしょうか。

一般社会ならば当たり前にできることですが、ここに、「法律の壁」があります。
地方自治法上、「議長を解任し、選び直す」ことはできない、と一般に考えられているのです。

もっとも、法律にはっきりそう書いているわけではありません。
地方自治法では、議長に関して以下の規定があります。

地方自治法
第103条 普通地方公共団体の議会は、議員の中から議長及び副議長一人を選挙しなければならない。
2 議長及び副議長の任期は、議員の任期による。

第108条 普通地方公共団体の議会の議長又は副議長は、議会の許可を得て辞職することができる。・・・

これら規定の解釈として、一般には、法律に「議長の解任」の規定が存在しないので、
・議会はいったん議長を選んだら、「議長の解任」はできない
・議長は、議員の任期中は、自ら辞職しない限り、ずっと議長を務められる
と考えられているのです。

議長の辞職勧告決議・不信任決議などは、
「事実上、議会が議決することは差しつかえないが、法的には効果はなく、任期を中途で失わせることとはならない。」
とされています(松本英昭『新版・逐条地方自治法(第7次改訂版)』学陽書房))。

「規定がないからできない」ということなら、地方議会の運営ルールとして(議会ごとに定めている「会議規則」の中で)、独自の規定を定めてしまう可能性はないのでしょうか。
上記逐条解説によると、これも、
「議会の不信任議決により、議長は職を失う旨を会議規則に掲げたものがあれば、違法の会議規則である(行政実例昭和26・1・17)。」
として否定されています。

地方自治法に規定がない以上、議会の会議規則で定めても、その規定が「違法(地方自治法違反)」になるというわけです。
ちなみに、ここで出てくる「行政実例」とは、地方自治体の問合せに対して、国の担当部局が回答したものです。

もっとも、これに対して、専門の研究者の間でも、「こんな行政実例はおかしい」との意見があります。
例えば、岡田彰・元拓殖大学大学教授(地方行政専門)は、
「こんなことは地方自治法の問題ではありません。それぞれの議会の会議規則で、『不信任決議などを受けたら、議長の職を失う』と定めればよいだけのことです。
一般に、住民によるリコールの『根拠』は、選任と罷免の連動性にあるとされています。議長は、議会構成として議員が選挙するのですから,罷免も当然できるはずです。」
と指摘されます。

また、行政実例に関しては、
「行政実例は、役所の都合で挿入・削除が繰り返されています。行政実例を集めた『例規集』は加除式で、簡単に挿入も削除もできます。削除されたら実例は痕跡がありませんので、役所にとっては大変都合がよい。これは、役人の知恵なのです。
ちなみに、直接請求について、『署名は自著』と規定されているのみですが、かつて福岡県知事リコールのとき、日本語以外の署名がありました。そのときの行政実例として、『ロシア語は不可、朝鮮語は可』という、全く不可解な解釈が示されたことがあります。たぶん現在は削除されているでしょう。」
その程度のものだということです。

今回のように、辞職勧告決議・不信任決議などを受けた議長が、決議を無視して居座るという問題は、塩釜市議会だけに限らず、あちこちで起きているようです。
何度決議を出してもらちがあかないのなら、この際、争いのある60年以上前の行政実例にチャレンジし、会議規則で独自ルールを制定してみてもよいのかもしれません。

(地方議会ニュース解説委員 原 英史)

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Photo: Maria Ly https://flic.kr/p/8ZY7Uh

港区議会レポート『ポストを巡るよくわからない争い』(玉木まこと:港区議会新人議員)

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■区議会ではビックリするようなことが起きています

4月26日の統一地方選挙で(定員34人中33番目で)初当選した港区議会議員の玉木真です。無所属・新人でこれまで政治とは縁のなかった私だから書ける市民目線で感じた議会や議員の活動についてレポートしていきたいと思います。

初めての選挙が終わり、あっという間に1ヶ月が過ぎました。当選翌日は当選証書の授与式があり、5月11日から区幹部職員との顔合わせ会、新人議員への港区概要説明会などの会議がポツポツとあるだけでした。
そして区議会事務局から会派結成について連絡があり、私は今期の港区議会で唯一の一人会派「街づくりミナト」をつくり、(一人なので当然ですが)幹事長となりました。

まもなく「会派代表者会議」という、その名の通り各会派の代表が集まる会議が開催され、私も「街づくりミナト」の代表として参加することになりました。この「会派代表者会議」が初めての個人の議員としての活動になり、どんな会議になるのか興味と不安を持って参加しましたが、既にいろいろなウェブサイトやメディアで報道されているとおり、この顛末がなかなかビックリでした。

■副議長のポストをめぐるよくわからない争い

選挙も終わり議会を開催するために、まず正副議長、監査委員、各委員会の正副委員長というポストを決めなければならず、この「会派代表者会議」ではどのような方法で決めるかについて話し合いが行われました。

すでに多数のメディアで取り上げられておりご存知の方も多いでしょうが、港区議会では、この副議長のポストをめぐってちょっとした騒動が起こっていました。簡単に説明しますと、民主4名・維新2名・社民1名・無所属3名の合計10名が新しい会派「みなと政策会議」をつくり、これまでの議長・自民、副議長・公明というポストが変わるかもしれない事態が起きました。

どういうことかというと、これまでのポストを決定する方法は、ドント方式という各会派で割り振る方法を採用しており、今回も同じ方法で決定するならば、10名の新会派は自民党13名に続く第二会派となり、副議長ポストを獲得できるというわけです。
そのようなことで、第1回会派代表者会議では、この新会派の結成について、自民党、公明党、共産党の3会派から「これまでの議会で政策が合致していない議員が多数集まった、ポスト狙いと思われる会派結成は認められない!」と意見が噴出しました。

結局、ポストを決める臨時議会開催までに実に6回(!)も会派代表者会議で話し合いを重ね、ドント方式は各会派の合意がなければ実施できないため、(民主主義の基本である)投票により全てのポストを決めることになりました。

私は一人会派なので、ドント方式でも投票でもポストが割り振られる可能性はほとんどありませんでしたが、一連の会派代表者会議では「港区議会として少数会派の意見を広く反映する意味でドント方式の継続に双方が歩み寄るべき」「双方がドント方式継続という視点に立って妥協案を提示できないか」「投票という結果になったとしても今後のドント方式復活に各会派が努力することを確認しましょう」という趣旨の発言をしました。

それを受けて、最後まで「ドント方式はできない」と主張していた自民・公明が、妥協案として「新会派10名を政党別に分けて、民主4名、維新2名にするならドント方式をしよう」と申し出ていたそうです。しかし、この妥協案も新会派は会派設立趣旨に反するとの理由から受け入れませんでした。(最後の双方が歩み寄るチャンスだったのですが。。。)

■不可思議な新会派の投票行動

このような状況で迎えた議長・副議長の単記無記名投票の結果ですが、これも大変ビックリな内容でした。
ドント方式ではなく投票に決まった以上、それぞれの会派が自分たちの主張を貫くものだと思います。したがって当然のように、私は自分の名前を書いて投票しました。

ところが新会派は、議長・副議長とも自民党・公明党の推薦する候補者に投票していたのです。私は、議会では全員一致でなくても民主主義の基本として多数派がポストを獲得することを当然のこととして受け止めつつ、一方でいろいろな候補者が出ることも自然だと思っていたので、この新会派の投票行動が不思議でなりませんでした。

臨時議会直前の会派代表者会議では、新会派が分裂するとの話題(噂?)も持ち上がっていたため、今回の合計6回の会派代表者会議で双方に歩み寄りを提案していた身としては無駄な時間を費やしたとの思いです。

また、私は、今回の選挙で政治にあまり関心のなかった沢山のボランティアに支えられて無所属・新人で当選しました。そして都心の港区から、無所属でも一人会派でも、街を良くするための議員活動がしっかりとできる状況が理想的だと考えています。
その一方で大人数の政党・会派が存在し、それを支持している人がいることも認識した上で双方が議論を尽くし、互いに政策を高めていく関係をつくっていきたいと思っています。

しかしながら、会派代表者会議で議論になっていない場面が多いことに大変驚きました。質問への回答が非常に曖昧で、ただ時間だけが過ぎてしまう、そんな時が多々ありました。もちろん港区議会の全議員がそうではなく一部の議員の話ですが……。
私は、新人議員としてしっかり議論・ディスカッションできるよう努めていきます。

以上、長々と書きましたが、これからも市民目線を忘れず、議会レポートを行っていきたいと思います。

(玉木まこと 港区議会議員 : http://makoto-tamaki-327.tumblr.com/ )
Photo: https://flic.kr/p/of8BeX